水無月 -6月- 時候の挨拶

濡れた葉の濃い緑
時折さす光にきらきらと輝き、水のもたらす豊かさを感じるこの季節。
そんな6月の時候の挨拶をまとめました。

6月
初夏の候/向夏の候/長雨の候/向夏の候/梅雨の候/
夏至の候/麦秋の候/入梅の候/深緑の候/青葉の候/
紫陽花の咲く季節になりました/日の光も青く/
木々の緑も深みを増して/日ごとに暑さが増す折/
紫陽花が雨に映えるこの季節/さわやかな初夏を迎えました/

雨期に入りますので、雨に関する時候の挨拶が多く見られます。
雨、というと物憂げな印象がありますが、
海棠の雨に濡れたる風情
(美人の果敢なげで可憐な姿を、カイドウの花が雨に濡れうなだれているいるようすになぞらえた言葉)
にもあるように、ただ寂しいだけではない、日本らしい美意識を含んでいます。
雨の入った言葉を使うと、ちょっと落ち着いた雰囲気の招待状に仕上がりそうですね。
紫陽花の絵柄に合わせるのもおすすめです。

夏至の頃(6月21日前後)は、1年で昼の時間がもっと長くなりますし、
日差しにもジリジリとした夏の活気を帯びてきます。
招待状を爽やかで元気な印象にしたい場合には、「夏」が入った言葉を選ばれると良いと思います。

6月なのに「秋」が入っている「麦秋」という言葉があります。
麦秋とは、麦の穂が実り、収穫の時期を迎えた頃のことを指すそうです。
「秋」は収穫の時期の比喩であって、初夏の季語として使われています。

麦秋と言えば、小津安二郎の映画に「麦秋」という作品がありますね。
小津映画には娘の結婚がテーマになっているものがいくつかありますが、
「麦秋」もちょうど春から今頃の季節、末の娘が縁談を受けてお嫁にいくまでを描いた内容です。
恋愛結婚が一般的な昨今とは若干違いがあると思いますが、
これから嫁がれる新婦様のご両親の心情を感じることが出来るかもしれません。
ご覧になってみては、いかがでしょうか。

話が逸れてしまいましたが、家の中で過ごす時間も増えるこの季節。
窓の外から届く雨音を聞きながら、ゆったりとご結婚式のご準備を進めていただければと思います。